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ウェブで政治を動かす!(津田大介著)

ウェブで政治を動かす!」(津田大介著、朝日新書377、2012年11月30日)を読みました。
ネット選挙が参議院選を前にして実現する見通しのようで、この一冊は、ネットと選挙の関係を見るうえで必読の一冊かと思えます。

当初この本は、「ウェブで政治が動く」(同書294ページ)というタイトルになる予定だったそうです。政治とウェブそして人間を観察するうち題名が変わったのでしょうね。

自民党・ネット選挙関連でのキーパーソンと言えば、世耕弘成参院議員のほかはないのではと思っていたら、不明の至りで、橋本岳衆院議員もなかなかの見識をおもちであることがわかりました。

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 ネットでの選挙運動はこれまで法律的には禁止されていました。今回はこれを基本的に誰に対しても解禁、ただし電子メールによる選挙運動は候補者または政党に限る、というのが与党案の主な趣旨です。他の党からは、電子メールによる選挙運動も誰でも行えるようにしようというご意向もあるのでそこが論点の一つです。ただいずれにしても、実は今回の改正は「候補者ではない第三者による文書図画による選挙運動をまずはネットで可能にする」という点で、実は極めて画期的な改正になります。おそらく。

 要するに、候補者や政党が、「私、織田信長(仮名、以下同じ)は必ず天下を獲ります!ぜひ皆様の一票を投じてください!」という訴えがWebサイトやFacebookTwitterなどでできるようになるのみならず、選挙運動できる人(たとえば未成年者はダメです)であれば誰でも一定のルールの下で「織田信長さんにぜひ一票いれよう! @nagahide_n 」もしくは「日本名古屋党が進める天下布武政策に反対する明智光秀候補は、ぜひ落選させよう! saru@oda.com 」といった表現がWeb上などで許されるようになるということです。候補者だけが選挙を頑張るのではなく、意識ある人が幅広く主体的に選挙運動ができるようになるのです。
…(略)…>> 記事掲載WEBサイトの頁へ

ウェブで政治を動かす!」でも橋本衆院議員が「政治家には、自分はメディアたらんという情熱や意欲」(p225)が必要だと言っていることを紹介しています。間接民主主義にあって、多くの意見を聞きそれをまとめ政府に求める、逆に政府の言い分や、所属政党の政策をわかりやすく有権者に伝える、ということになれば、議員・政治家はメディアであるというのはその通りだとなります。

著者は、政治家の言葉・思想が世の中に浸透しない原因にも目を向けています。伝わらない結果は当選できないということになるのか、はたまた、言葉・思想以外の何かで当選に結びつくということか…。

ネットの技術問題にも触れ、HTML言語だけでつくったホームページは「更新は遅いし、双方向性も共有性もない」(P256)と武雄市の実例を紹介しています。爺もまったく同感です。

あえて言えば、ホームページビルダ(HB)で作成するいわゆるホームページのスタイルは情報発信力や利便性に乏しく、あわせて双方向性に欠ける可能性が高い、というようなことではないでしょうか。HBがあまりにも有名なのでそう書きましたが、他のHP作成アプリでもおよそ似たようなことになるのかと思います。HTMLのプログラムに頼る、というより、システムまたはサービスとして情報発信・双方向性を実現する時代になっている、と言えます。

「ウチはサイトがあるから情報発信をやっている」と思い込む前に、(1)個別記事は固定したURLでリンクを担保できているか、(2)最新の記事はRSSで提供できているか、(3)専用PCで担当オペレータが作業し情報公開するスタイルから脱却できているか、などが問われているともいえます。

参議院選挙までに、どの政党・政治団体・候補者が有権者にヒットするネット活用を実現するか注目されます。有権者側のネット選挙も注目されます。その際のポイントの一つはフロー系で、SNSそれもtwitterが当面の焦点になるだろうと妄想する爺です。その先に、ストック系のblogやいわゆるサイトの重要性が再認識されるのだろうと思います。

これら、政治、ネット、選挙、SNS、はたまたこれにかかわる技術問題をふくめた疑問に出口を見つけてくれる一冊だと読んでみて思いました。

ウェブで政治を動かす! (朝日新書)

ウェブで政治を動かす! (朝日新書)